◇◇
「で? その奇跡とやらのお陰で、僕らの努力の結晶の手摺りが、もうはや不要になったってこと?」
「こら瑞希、そんな事言ってはいけないだろ。
月岡さんの状態が改善したなら、喜ばしい事じゃないか」
「だって亀さ〜ん、
セックスして良くなりましたって、ふざけ過ぎてない?
紫ちゃんの回復は僕だって嬉しいけど、素直に喜んであげられないよー」
「とにかくこれで学校生活も心配なさそうだし良かったよ。
ごめん、僕もう行かないと。
続きは受験が終わってから聞かせてもらう。
亀も急がないと遅れるよ」
次の日の早朝、亀さんとたく丸さんは受験会場へ、私達は学校へと支度を済ませ廊下に集合していた。
昨夜は
「奇跡のきっかけは誰にも話せないよな…」
なんて笑いながら言ってた流星だけど、
今あっさりと皆に暴露してくれちゃって…
「何で言っちゃうの!?」
と焦ってみたものの、
良く考えたら“消音で”は出来なかった私の声は、寮の皆に聞こえていただろうし…
今更恥ずかしがっても遅いかも知れない。
折角作った手摺りがもうはや不要になったと、文句を言う瑞希君。
慌てて彼に言い訳した。
「瑞希君、動く様になったと言ってもまだこの程度だよ。
右手でペン一本持てないし、
右足だってほら……
手摺りに掴まらないと、玄関まで10分くらい掛かりそう。
瑞希君が一生懸命作ってくれた手摺りがないと、まだまた困るよ。
感謝でいっぱいだから、ねっ?」
「それならいいけど〜」


