ラベンダーと星空の約束

 


痺れているのか気持ちがいいのか…

全身を襲った感覚が何なのか、自分でも分からなくなった。



ただその衝撃は、思いもしない奇跡を起こした。



私の中で激しく動いていた流星が、ピタリとその動きを止めた。



私を見つめるその瞳は大きく見開かれ、驚きを表していた。



私も多分同じ様な顔で、流星を見上げていると思う。




「紫…… 右腕……」



「う…ん… 動いた…」




麻痺している右腕は肘と手首の関節で屈曲し、指は丸まっている状態が今の私の普通だった。



その形の麻痺手はどんなに動かそうとしても、自力では1ミリも動かなかったのに…



それなのに今…

左腕と同じ様に、自然と流星の背中に回し掛け、

しかも親指で彼の背中の素肌をまさぐっている……



信じられない思いで、
顔を見合わせたまま、言葉が出てこなかった。


言葉より先に漏れたのは、2人の笑い声。



「プッ…ふふっ…アハハハッ」


「アハハッ!」




喜びよりも先に笑いが込み上げ、お腹が痛くなる程2人で笑い転げた。




「もう少し笑い声小さくしないと…ハハッ…亀さん達に悪いって…アハハハッ」



「流星だって声大きいよ…アハハッ」



「ブフッ…待って今笑いを収めるから……ククッ……は〜…収まった。

何だよこれ…
セックスしてたら腕が動くようになりましたって…人には言えないよな。

どこまで動く様になったの?足は?」





流星は私を抱き起こす。

期待を込めた視線で麻痺腕と足を見つめている。



右腕に力を入れてみた。

肘も手首も肩関節も、スムーズにはいかないが、
力を加える意識で集中すると、曲げ伸ばしする事が出来た。



指は親指と人差し指だけが動き、中指から小指までは今まで同様動かせなかった。



親指と人差し指の動きもぎこちなく、力も入らず弱々しい。



動くと言っても、まだ箸やペンを持つのは無理そうだ。