血みどろの現場を見ても、意識のない私を見ても、
取り乱す事なく、冷静に行動してくれた彼には、
感謝を通り越し、敬う気持ちが湧いてくる。
本当に何て言ったらいいのか……
「瑞希君て人間が出来てるよね。
尊敬する人は誰かと聞かれたら、両親と瑞希君て答えるよ。
本当にありがとう。大好き!」
「あらら〜僕まで三角…いや四角関係?に巻き込まれちゃったよ。
大ちゃんどうする?
紫ちゃんを巡って、今度は僕と決闘してみる?」
「決闘か、ハハッしてもいいよ。
じゃあ、3学期の中間テストの結果で勝負するか」
「え〜!?
そんなの勝てる訳がないじゃん。ズルイよ〜」
「アハハハッ!」
皆の笑い声が柏寮に響く……
まだまだ寒い1月の終わりの日、
笑い声が私の心をポカポカと温めてくれる。
その後は、当然の様に退院祝いパーティーが開かれた。
いつもの様に流星の部屋に、
買ってきた食べ物やお菓子を広げて会話を楽しんだ。
亀さんとたく丸さんが卒寮する前に帰ってこれて、本当に良かった。
私の中ではこの5人全員が揃っての柏寮なんだもの。
卒寮する前で……
あれ?…そういえば……
自分の退院の心配に気を取られ、すっかり忘れていた事を今思い出した。
「あの〜、亀さんとたく丸さんの大学入試の日にちは…?」
怖ず怖ずとそう聞くと、亀さんがサラリと答えた。
「ああ、俺もたく丸も、前期日程は明日だよ」
「明日〜!? 宴会してる場合じゃない!
ごめんなさい、私自分の事しか考えてなくて…
もう十分ですから、戻って勉強…」
慌てる私の言葉を遮り、今度はたく丸さんが言う。
「大丈夫。 頭を休める為に今日は勉強しないつもりでいたし、寧ろリラックスさせて貰えて助かるよ」
大学受験には縁のない私だけど、
世間一般では、その後の人生に大きく影響する一大事だよね。
そんな大切な受験期間に、私はどれだけ迷惑を掛けてきたことか……
毎週お見舞いにも来てくれたし、
あの手摺りだって“柏寮総出で3日かけて作った”と言っていた。
受験生にそんな事をさせても尚、優しい言葉を掛けてくれる……


