大樹の声を聞くと、ホッと気を休める事ができる。
東京にいても、自分の有るべき場所はフラノなんだと思わせてくれる。
私が私で有り続ける為には、
大樹の存在が必要だった。
大樹の代わりなんて誰にも出来ない。
例え流星でも……
大樹に恋は出来なくても、
掛け替えのない存在だったと痛感する。
大樹を失った人生で、私は今までとは違う私になるかも知れない……
大樹の名前が続く通話履歴を見ていると、私達の小さな歴史を読んでいる気がした。
それを下に下に見ていって…
ふと、ある事に気付いた。
このスマホには通話履歴が60件残る。
けれど、履歴に残る一番古い着信表示に振られた番号は…『59』
「あ…れ… 何で…?」
このスマホを使い始めて、59回しか通話してない訳じゃない。
今まで大樹とは何百回と連絡し合ってきたのに……
一件消えてる?
自分で履歴を消した事はなかった。
それなら…誤作動…そんな事もあるのかな…
そういえば…
昨日の朝に大樹と話してから、まだ一度も電話が鳴らない。
メールも来てない。
いつもは大抵、朝は起こす為に私が掛け、
夜は10時前後に大樹から掛かってくるのに……
昨日自分が何時に眠りに就いたのか、大体の時間すら分からないけど、
もしかして…
昨夜私が眠った後の、大樹からの着信が消されてるとか…?
いや待って、違う、違うよ。
これじゃまるで、流星を疑ってるみたい。
ほぼ毎晩掛かってきてたけど、たまには鳴らない日もあったもの。
疲れて寝てたとか、新しいゲームソフトを買って夢中になっていたら夜中だったとか…
理由は大抵この2つの内のどちらかだった。
今回もそんな所だよ。
履歴が一件足りないのは、誤作動か自分で気付かない内に画面に触れて消してしまったからだろう。


