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紅茶のカップが空になり流星の部屋を出た私は、シャワーを浴びてから自室で一息ついていた。
ドライヤーで髪を乾かしていると、鏡越しに大樹から送られてきたクリスマスプレゼントの箱が目に入った。
もうすぐ冬休みで実家に帰るから、わざわざ送らなくてもいいと言ったのに…
それでも私の為に、クリスマスに合わせプレゼントを送ってくれた大樹。
開けて「届いたよ」って電話しないと……
ドライヤーのスイッチを切り、こたつの前に座ってその箱に触れた。
大樹がこれを送らなかったら、流星の記憶は戻っていないだろう。
流星と想いを通わすことなく、
大樹の彼女として3日後にフラノに帰る事となったんだろう。
大樹が流星の記憶の蓋を開けたなんて、皮肉だよね……
はぁ…何か切ない……
溜息をついて箱を開け、エアクッションに包まれた中身を取り出した。
花柄の可愛いマグカップ。
でも…壊れてる……
あの時、私に詰め寄る流星が箱を投げ捨てたから…割れてしまったんだ…
しょうがないよね……
一度も使われないまま三つに割れたマグカップは、何だか哀し気に見えた。
それをじっと見ていると涙が込み上げてきて…
瞬きと同時に目尻から頬を伝い流れ落ちた。
大樹…ごめんね……
私、最低だよね……
ごめん…
こんな謝罪の言葉しか出てこないけど、そんな物で許して貰えるとは思ってないよ。
大樹が私の側を離れていくのは怖いけど…
私はそれを受け入れる。
大樹が私を一生避けると言うのなら、それに堪えて生きていく。
ごめんね…
もう…側に居続けてなんて言わないよ……
涙を拭いて心を落ち着かせてから、今、大樹にマグカップのお礼だけを伝えようと、スマホを取り出した。
いつもの様に通話履歴から掛けようとした。
通話履歴はほぼ大樹の名前で埋まっている。
毎日朝晩電話し合って、
「早く起きて」とか「今日何食べた」とか、
内容はくだらない事ばかりだけど、それは私にとって必要な時間だった。


