「あまり思い詰めないで…紫の気持ちは十分届いてるからさ……
大樹を大切に思う気持ちも理解してるし、それを捨てろなんて言わないから安心して。
大丈夫。物事はいい方向に向かうよ。
俺と君と大樹、それぞれが納得する方向に…きっと…
だからさ、笑っていてよ。
紫にはそんな顔より笑顔が似合う。
My sweet angel 笑って?」
「スイートエンジェル?
今時そんな古臭い台詞言う人いないよ? アハハッ!」
流星の温かい気持ちが胸に染み、私の体を内側からじんわりと温めてくれた。
顔がぼやけて見えるのは…
カップから漂う湯気のせい?
それとも涙が溢れそうだから…?
紅茶を啜りながら涙を飲み込み、笑顔を向ける。
流星も優しく笑い返してくれる。
流星が好き…
優しい眼差しも、温かい心も、綺麗な指先も、大手術の跡も…
流星の全てが愛しい……
込み上げる想いに胸が熱くなり、胸元の紫水晶の指輪を握りしめた。
そうだ…
この指輪返さないと…
シルバーチェーンのネックレスを首から外し、流星に差し出した。
「ん。確かに返して貰いました」
流星は受け取った指輪を暫く眺め、それにキスしてまた私の首に掛け直した。
「どうして?」
「んー。返して貰って約束は果たされたから、今度は君にあげる。
5年前だって本当はあげたかったのに、君が貰ってくれないから『預かっていて』なんて言ったんだよ。
今度は貰ってくれるよね?」
「でも…」
「あれ、今回もダメ?
それを身につけている紫を俺が見ていたいんだよ。
白い胸元で揺れる紫水晶の光りが綺麗だったな……
君を抱く度、その光景が見れるなら幸せだよ。
だからさ、外さないで今まで通り持っていて」
「その為に?」
「そう! 俺ってエロいロマンチストだから。ハハッ!」
そんな事言ってるけど、それだけの理由じゃないと分かってる。
この指輪は流星にとって大切な物だから私にくれるんだよね。
私を大切に想ってるって…
いつも側に感じて欲しいって…
そう思って渡してくれたんだよね……
「流星…ありがと…紫水晶の指輪、これからもずっと身に付けてるね」


