ラベンダーと星空の約束

 


「もう本当大丈夫だから…心配掛けてごめん。

悪いけどさ、クリスマス会はこれでお開きにして貰えないかな。

暫く彼女と2人にして欲しい。

瑞希は俺達の過去を知ってたんだろ?

あー謝る必要はないよ。
瑞希は悪くないから。

謝んなきゃいけないのは、むしろ俺の方だよ…迷惑かけてごめん……

迷惑ついでにもう一つ頼まれてくれない?

亀さん達には何も言ってなかったから…説明しといて貰えると助かる。

こんな状況で説明無しなんて、許されないよな」



「大ちゃん…
もしかして……」



「ん… 思い出したんだ…
あの夏の全てを。


 ゆかりちゃん……

 いや…… 紫……


話しをしよう。あの夏の事…それから…これからの俺達の事」



「流…星…… ううっ…」





残っていた料理や飲み物を片付け3人が出て行った後、静かな室内に俺と紫が残された。



紫は床に座ってベットに肘を付き、両手で顔を覆い声を殺して泣いていた。



その姿にどうしようもなく胸が震えた。



ベットから下りると彼女の背後に回り、涙に震える肩にそっと手を置いた。




「紫…どうして教えてくれなかった?

いや…そんな事はもうどうでもいいか……

ごめんな。忘れてしまってごめん。待たせ続けてごめん。

逢いに来てくれたのに気付けなくて、悲しい思いをさせたよな?

紫…ごめん…許して……」




紫は勢いよく振り返って俺の胸に飛び込むと、声を上げて泣き出した。



彼女を抱きしめて髪に顔を埋めると、仄かにラベンダーの香りがした。



彼女の熱い涙が、着ている上衣を浸透し、俺の胸を心地好く濡らしてくれる。



俺の胸で泣いてくれる紫が堪らなく愛しい……




「紫…おじさんとおばさんと青空君は元気にしてる?

“ファーム月岡”は、あの時のまま?

ラベンダーの丘は変わってない?

一緒に過ごした白樺並木は今もあるの?

それから……」




紫は俺の胸から顔を離さないまま、その質問にコクコクと頷いていた。




「ラベンダーと星空の…あの写真の風景を、俺は君と見ていたんだね……

もう一度一緒に見たい…
来年の夏休みに俺もフラノに行ってもいい?」




全ての問いに頷いていた紫だけど、最後の質問には頷いてくれなかった。