流星が部屋に入りドアを閉めようとした時、
『ピンポーン』と玄関のインターホンが鳴る、微かな音が聞こえてきた。
柏寮のインターホンは余り役に立たない。
何故かと言うと、ドアを閉めると部屋の中まで音が聞こえないから。
ドアを閉めて辛うじてその音が届くのは、105号室の亀さんの部屋までだろう。
それでも、柏寮のインターホンを鳴らさなければならない人は、配送業者さんくらいの物で、
それぞれ実家から荷物が届く時には亀さんが預かってくれているか、不在票が入っている為困らなかった。
因みに郵便受けの管理も亀さんがやってくれている。
学校からの連絡や光熱費の徴収と支払い、
建物の修理や保全に至るまで、寮長の亀さんが全てやってくれている。
寮長と言うより雑用係を引き受けてくれて、有り難くて申し訳ない。
ドアを閉めようとした流星が言う。
「今ピンポーンて鳴ったよね?配送業者かな。
あー亀さん立たなくていーっすよ。立ってるついでに俺が出ます」
立ち上がろうとした亀さんを止め、流星は応対に出て行った。
「紫ちゃん、大ちゃんがいない内にベット占領しちゃえば?
ミニスカートで床の上って、足崩せなくて痺れちゃうでしょ?」
ミニスカートの私を気遣い
瑞希君が「隣においでよ」と手招きしてくれるけど、
体育座りをしている自分自身は、
サンタガールのスカートの中が丸見えになっていた。
瑞希君の男物のパンツを見ても、動じる人はここにいないから、
今更突っ込んだりしないけどね。
確かに床の上で正座をしていると足が痺れて痛かった。
瑞希君の隣に行こうとベットに片膝を掛けた時、バタバタと走る足音が廊下から聴こえてきた。
部屋のドアが勢いよく開けられた。
その音に驚き私はベットから足を下ろして振り返り、
皆の視線も、ドアを開けた流星に一斉に注がれた。
部屋の入口で立ち止まる流星。
その視線はみんなを素通りし、私だけに向けられていた……―――――――――


