ダメだよね…
この状況…
離れないと
いけないよね…
分かってるよ。
大樹を選んだ私が、
流星とこんな事したらダメだって分かってる。
それなのに、
流星の腕から逃げ出す力が出てこない。
「どうしよう」と戸惑う気持ち、
「早く離れないと」と焦る気持ち。
それから…
「私が好きなのは流星なんだ」
と思い知らされる、
どうにもならない恋心…
それらの気持ちがぐちゃぐちゃに混ざり合い、
心が壊れそうに苦しかった。
そんな苦しみにじっと耐え、
流星も何かを堪えている様に、時々長い息を吐き出している。
どれくらいの間、
無言で抱き合っていた
だろうか……
時は静かに流れ続け、
部屋の中が夕暮れ色に染まり始めていた。
後少しで後夜祭が始まり、3時間が経過して、
私はこの部屋を出る事になるだろう。
流星がゆっくりと腕の力を緩めたので、彼の胸元から顔を離した。
流星は私の目を見てからメイド服に視線を落とし、
再び私の目を見てフッと柔らかく微笑んだ。
「そのメイド服似合ってるよ。ゆかりちゃんには紫色が一番似合う。
君を色に例えるなら紫色だね。
凛として…強くて…優しい香りの漂う紫色。
北の大地に咲き誇るラベンダーの様な…紫色……」
「…流星…私は…」
「大丈夫。分かってるから。君は紫(ムラサキ)ちゃんじゃない」
「う…ん…」


