移植された心臓を自分の物と思えるのは…
私が傍にいる時だけ…
そんな事言われたら、
ずっと傍にいるからって…
言ってしまいそうになる。
絶対に言う事が出来ない…言ってはならないその言葉を、
今の私は黙って飲み込むしかなかった。
あっという間に柏寮に着いた。
流星は私を抱えたまま
器用にドアを開け中に入った。
玄関で素早く靴を脱ぎ、
私の靴も脱がせてくれて、
やっぱり抱えたまま
スタスタと自室に向かう。
「流星、下ろして?」
「ヤダ」
「ヤダって言われても、
このままじゃ掃除が出来ないよ」
「掃除?自分でやれって言ってたじゃん」
「あれは瑞希君が…」
「とにかく下ろさない。掃除もしなくていい。
3時間は俺が主人だよ。
言うこと聞かないと、お仕置きするから」
「え!?」
流星は110号室に入ると
中から鍵を掛けた。
皆がいない柏寮は静か過ぎて、
自分の鼓動がやけに大きく響いて聴こえる。
流星は床に足を投げ出して座り、
ベットに背をもたれ、大きく息を吐き出した。
私は流星と向かい合わせに太ももを跨いで座らされ、
背中と頭に腕を回され
しっかりと抱きしめられていた。
頬が彼の胸元に当たり、
私と同じくらい速い心拍が肌に伝わってくる。


