「良かった。不満じゃないって事は、御主人様として認めて貰えたと解釈するから。
じゃあ早速1つ目の命令。
これから俺の部屋に来て、掃除して?」
「………」
流星の部屋に行って…
掃除……
いいのかな?
2人切りになっちゃうけど、いいのかな?
掃除するだけなら…
いいのかな…?
戸惑う私の背中を、
瑞希君がポンと叩いた。
「ほら、ここで練習した決め台詞を言わないと」
「あっ…
掃除くらい自分でやってよね!」
「…ハハハッ
ヤバイって それ!
ハハッ……本当…ヤバ……可愛い過ぎて、俺もう…我慢の限界……
ゆかりちゃん、俺の首に腕を回してしっかり掴まって。
全速力でここから抜け出すから」
「え!? キャア!!
流星、待っ…」
「舌噛むから喋らないで!」
私を横抱きに抱え上げ、
流星はステージから勢いよく飛び下りた。
その衝撃を彼の体越しに感じ、
慌てて首にしがみついた。
人混みの間を縫うように走り、体育館を抜け出した。
遠ざかる体育館の入口。
当たりチケットが出た事を伝える瑞希君の大声と、
ざわめく観衆の声が微かに聴こえてくる。
玄関までの長い廊下の途中、
彼氏と一緒に文化祭の模擬店回りをしていた、真由と千絵梨と擦れ違った。
「あっ! 紫!?
何やって……」
流星が止まってくれないから、
彼女達の驚きにも問いにも答えていられなかった。


