あからさまにムッとした顔を向けると、瑞希君がニッコリと微笑んだ。
「ごめんごめん。
全く緊張してないなんて、
あんまり可愛くない事言うからさー
つい、虐めてみたくなっちゃった。
緊張でガチガチに固まるよりは、
辛口ドライで肝が座ってる方が助かるよ。
だけど〜
その落ち着きっぷりが、
いつまで続くかな〜?」
「何それ。
どういう意味?」
「さあね〜 あっ チアが終わったみたい。
いよいよ僕らの初ステージが始まるよ。行こう!」
意味ありげな発言が気になったけど、
チアの子達が下りてきたので、椅子から立ち上がった。
彼女達と入れ代わりに舞台袖に上がり、ステージに立つ。
ステージは幕が下ろされた状態。
まだ観客の様子は見えない。
客席がガラガラだろうが、シラけようが、ドン引きされようが、
ここまで来たら、逃げるわけにいかない。
諦めて覚悟を決めた時、
司会の声が体育館に響いた。
『プログラム19番。柏寮による演目です。
― メイド of 柏 ―
校内1、2を争う美少女2人組の…………』
え…
『校内1、2を争う美少女』って…
何を言わせてるのよ!?
ドン引きされるのは覚悟の上だけど、
これ以上ハードル上げないで!
もう、どうなっても知らないから!
呆れた視線を投げかけると、
瑞希君に笑顔とVサインを返された。
私の深い溜息と共に1曲目の前奏が始まり、
舞台の幕がスルスルと上がって行った。


