先程の涙は大樹との関係が壊れる恐怖から。
今流している涙は、流星を傷つけ苦しめる事を恐怖する涙。
「泣いても止めねぇぞ…
俺が嫌なら悲鳴を上げろ。助けを呼べ」
喘ぎながら首をブンブンと横に振った。
助けは呼ばない。
大樹を受け入れる。
そう覚悟を決めた時、下腹部に激痛が走り、危うく悲鳴を上げそうになる。
慌てて自分の腕に噛み付き、声を殺した。
鋭い痛みで全身が震える。
痛い…けど…
大樹の今までの痛みはどれ程の物か。
私は大樹の傍で、どれだけ残酷な言葉を浴びせてきたことか。
5年間ひたすら流星を想い続けてきたのと同じ年月、大樹は心を痛めてきた。
流星が付けたキスマークを見た時の大樹の心の痛みに比べたら、
初体験の体の痛みくらい我慢しないと。
体の痛みと、流星を傷付ける事を恐れる心の痛み、
二つの痛みに必死に堪えていると、
ドアノブが回され部屋のドアが内側に開いた。
ハッとしてドアに目を向ける。
そこには、青空がいた。
茫然とした表情で、ドアノブを掴んだまま固まっている。
大樹が動くのを止め、青空を睨みつけた。
「邪魔すんじゃねぇよ。出てけ」
「……… 姉ちゃん…泣いてるじゃん……Tシャツ破れてるし……
何これ…無理やり…?
大樹っ、何血迷ってんだよ!」


