新鮮な酸素を求め、
肺が大きく上下する。
思考力も視界の明るさも戻ってきたが、
抵抗する気力は残されていなかった。
私が大人しくなったのを見て、大樹は手の拘束を解いた。
落ち着いた低い声が上から降ってくる。
「逃げないで聞け。
流星とは向き合えて、俺とは向き合えねぇってのは許さない。
逃げるな。逃げずに俺の気持ちを受け止めろ。
俺は…紫が好きだ。
ガキの頃からずっとお前が好きだった。
この気持ちは誰にも負けねぇ。流星にもな…」
「私……」
「黙ってろ。最後まで聞け。
もう俺は限界だ。
嬉しそうに流星の話しをするお前なんて見たくねぇし、聞きたくねぇ。
選べよ…俺か流星か…
流星を選ぶなら、俺はお前から離れる…」
二人の内、どちらかを選べと大樹は言う。
私が恋しているのは流星。
大樹は大好きだけど、恋にはならない。
その気持ちを正直に言おうとしていた。
“離れる”の意味を正しく理解していない私。
今までの様にいかなくても、大樹との縁が切れる筈はないと思っていた。


