いくら大樹と言えども下着を見られるのは恥ずかしい。
でも今は、そんな事を恥ずかしがっている場合じゃなかった。
胸の痣……
東京を発つ3日前に流星に付けられたキスマークは、
付けられた日から10日経っても完全には消えず、
白い胸元にうっすらと赤黒い痣として残っていた。
ブラジャーのすぐ上の位置に…
決して見られる筈の無かった位置に付けられたそれを、
大樹に見られた……
大樹にだけは見られたくなかった。
そう思う理由は…恥ずかしいと言うことも勿論あるけど、
それよりも、私を女だと意識して欲しくないから。
女だと意識させる事で、
私達の間の当たり前で大切な何かが、壊れてしまいそうな気がしていた。
「何だって聞いてんだよ!!」
大樹は声を荒げ、私との間合いを一歩詰めた。
寄せられた眉の下には、鋭い眼光。
冷汗が背中を伝い、心臓が早鐘を打ち続けている。
どうしよう…
何とかごまかさなくては……
そう思うけれど、勉強中は素早く回転してくれるこの頭も、
こういう肝心な所では役に立たなかった。
上手い言い訳が出てこなくて、思わず大樹に背を向けてしまった。
その行動が益々大樹の怒りを増長させる。
「てめぇ…」
背後に低く呟く声。
大樹の太い腕が私を軽々と抱え上げ、
「あっ!」と思った時には、ベットの上に投げ落とされていた。


