そんな私の心と呼応するかの様に、再び雨が降り出した。
空は晴れて明るい陽射しが差し込んでいるのに、
急に降り出した天気雨に慌てる。
雨粒が近くの大きな水溜まりを激しく叩き出した。
「チッ…また降ってきたな…紫、先に家入ってろ」
「あ…うん」
弓矢を片付ける大樹を置いて、先に大樹の家に駆け込んだ。
今日は変な天気だ。
急に降り出した結構な勢いの雨に、着ていたTシャツはしっとりと湿っていた。
下着は大丈夫そうだけど着替えがしたい。
大樹のおばさんを玄関先で呼んだ。
しかし声を掛けても出て来ない。
上がり込んで茶の間のテーブルを見ると、メモ用紙が一枚乗せられていた。
メモ用紙にはおばさんの字で
『稲田さん家』と一言だけ書かれていた。
稲田さんの家に行ったのか。
その名の示す通り稲作農家の稲田さん。
うちの母も茶飲み仲間で、暇な時は行ったり来たりしている。
稲田のおばさんはお喋り好きだから、大樹のおばさんはしばらく帰って来ないだろう。
この時間から遊びに行って夕食の支度は大丈夫かな?
大樹の家の夕飯の心配をしてしまい台所を覗いた。
ふんわりとカレーの匂いが漂っていて、大きな鍋が火の消えたガスコンロに置かれていた。
それを見て作ってから行ったと分かり安心した。
うちも今日はカレーにしようかな?
簡単だし圧力鍋を使えば20分で出来るし。
じゃあ後1時間半はここにいても、うちの夕飯の支度には間に合うよね。


