道端の草花も畑の緑も皆しっとりと濡れている。
葉の上の水玉が差し込む陽光を反射して、キラキラと輝いているのが美しかった。
何処からか蛙の声が聞こえてくる。
雨が止むのを待っていた蝶達も、南瓜の黄色い花弁の周りをヒラヒラと飛び交っていた。
雨上がりの畑がぬかるんで作業にならないのは
うちのラベンダー畑も大樹の所の野菜畑も同じ。
広大な畑を見渡しても、大樹も大樹の両親の姿も見当たらなかった。
大樹の家に着くと玄関の引き戸をガラリと開けた。
チャイムなんて鳴らしたことはない。
こうやって玄関を開けてから声をかける。
「こんにちはー。大樹いますかー?」
大樹のおばさんが居間から顔だけ出し、
「お饅頭どうもね」と東京土産のお礼を言った後、大樹は倉庫裏に居ると教えてくれた。
大樹の家の裏には大小二つの倉庫がある。
倉庫の中には、畑起こしから植え付け収穫までに必要な、数種類の農機具がしまわれている。
収穫と一言で言っても、トウモロコシとジャガイモじゃ使用する収穫機は当然違うわけで……
栽培している野菜の種類分の収穫機が必要となるから、
出番を待つ沢山の農機具達が場所を占領し、
広い倉庫内が狭く感じられる程だった。


