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突然元気を取り戻した大樹だけど、
母の「休め」の一言で結局今日は家に帰した。
悪天候で客が疎らな店内。
暇だなと思いながら、働いていた。
午後になり天候は回復する。
空一面を覆っていた灰色雲の切れ間から、明るい陽光が差し込んでいた。
天気が回復したが昼も過ぎたし、やっぱり今日は客足は伸びないだろう。
そう思うのは母も同じで、私と青空に「帰ってのんびりしなさい」と言ってくれた。
のんびりしろと言われても、何もせずにゴロゴロ出来る性分じゃない。
夏休みの宿題はとっくにやり終えたし…
夕飯の支度にもまだ時間が早過ぎるし……
「青空、何する?」
「何も思い付かないけど…姉ちゃんは?」
「私も同じ。急に時間が出来ると何していいか分かんないもんだね。
大樹呼び出す?大樹の畑も雨でぬかるんで、今日は仕事にならないだろうし」
「いいよ………
あっ!良くない!全然良くない!」
「何でよ?
大樹も暇してると思うよ?」
「大樹は良くても俺が良くない!
えーと……宿題!
そう、夏休みの宿題やろうと思ってたんだよー。
家でうるさくされたら困るから、姉ちゃんが大樹の家行ってきて?」
「あんたが…宿題!?」
珍しいことを言い出す青空に驚いていた。
大樹を大好きな青空が、大樹より夏休みの宿題を取るの?
毎年宿題は、夏休み終了前日になって慌ててやりだす。
結局終わらずに「手伝って」と泣きついてくるのに、一体どう言う風の吹き回し?
驚いたけど、やるべき事を優先出来る様になった弟の変化を嬉しく思い、大樹の家には一人で行く事にした。
◇
大樹の家に向かって歩いていた。
雨上がりの濡れた土の匂いが立ち込める。


