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眠る前にベッドの中で流星の本を手に取った。
表紙の写真を眺めて見る。
間違いない。
4年前に私が撮ったラベンダー畑の写真だ。
流星に渡したものは手の平サイズのメッセージカード。
それをハードカバーの大きな本のサイズに引き伸ばしてあるから、
私の記憶にある画像よりは幾分ぼやけて見える。
でもそれがいい味を出していた。
はっきりとした星の光跡よりも、光が淡く散らされてより幻想的に見える。
暗闇の中、青色のライトに照らされて、
ぼんやりと浮かび上がる紫色のラベンダー…
そこに向けて降り注いでいるかのように見える夏の星達…
懐かしい写真…
これを渡したのは、流星がここに戻ると約束してキスをくれた日の翌日の夜。
それは東京に帰る前日の夜でもあった。
本の表紙を見ながら思い出していた。
お別れの夜を…
――――――……
―――――…
良く晴れた夜、家を抜け出し待ち合わせの場所に走った。
ラベンダー畑の前の白樺(シラカバ)並木、ここがいつも待ち合わせていた場所。
流星は既にそこにいて、白樺の幹に背を持たれ、座って私を待っていた。
「流星ー!」と呼び掛け近付いて行くと、素敵な笑顔を見せてくれる。


