バカみたいだね、私。
紫(ムラサキ)ちゃんにこだわり過ぎているのは、流星だけじゃなく私もだった。
あの夏にこだわり過ぎて、大切な今の気持ちを読み取ってあげられなかった。
隠してて…ごめん…
今なら言ってもいいと思った。
私が流星の捜している女の子だよって…
5年前のあの夏を話してあげたいと思った。
話した後には、
すぐに紫水晶の指輪を返そう。
『次に会う時』に返す約束をしていた紫水晶の指輪。
再会してすぐに返せなかった私は
『私達の想いがもう一度重なり合う時』
その時に返そうと決めていた。
それが……今。
今なら返せる。やっと返せる。
「流星…私……」
溢れる想いを言葉にしようとした時、大変な事に気付いた。
胸元に手を当てると…
そうだった。
紫水晶の指輪は、身に付けていなかった。
夏の薄着の間は見えてしまうから、学生鞄の中にしまっていて、
その鞄は宿題や勉強道具を詰め込み、
明日からの帰省に備えて、数日前に実家に郵送してしまった。
どうしよう…私って相当バカ。
今が正に指輪を返すチャンスだったのに……
流星に向き直り頭を下げた。
「流星…ごめん…」
「…え…ごめん…なの?マジで?」
「あっ、そういうゴメンじゃなくて、
返事を一ヶ月後まで待って欲しい…」
「今…言ってくれないの?
超ドキドキしながら、一ヶ月も待たされんの?」


