「ピンクの素麺取れたら特別賞あげるって言っただろ?
今晩、俺のガイド付きで星を見に行こうよ。
君だけの為の観測ツアーに招待しちゃう〜」
流星のガイド付き星空観測ツアー…
流星は今でも星が好きなんだね…
5年前のあの夏の夜、
彼が話す星座の物語に心をときめかせていた。
あの話しをもう一度聞けるなんて、こんな嬉しいプレゼントはないよ!
「ありがとう!すっごく嬉しい!!」
「…そんなに喜んで貰えると思わなかったな……
あのさ、大仰なこと言ったけど…
そこの多摩川縁で星を見ようっていう、ショボイ話しなんだけど……」
「しょぼくなんか無いよ!
流星が話す星座の物語、聞きたいもん!」
「…俺が話す星座の物語……
ゆかりちゃん…君って…」
「ん?」
「…いや…何でもない。
あ、それいいカメラだね。
柏寮撮ってたみたいだけど写真が趣味なわけ?」
「うーん、趣味って言い切る程の技術は無いけど、
綺麗な風景や感動する物を見ると撮りたくなる」
「へー。じゃあ今そのメモリーの中に実家の…北海道の写真も入ってるの?見せて?」
「は、入ってない。
新しいメモリーカードに取り替えたばかりだから……」
「…ふーん……」
何か…
ヤバイ方向へ話しが流れて行ってる……
メモリーカードを新調したなんて言ったけど、
本当はフラノの風景写真が何十枚も入ってる。
ごまかしたことに気付かれたら……
そう不安に感じて何と無くカメラを隠してしまったけど、
流星はそれ以上聞いてこなかった。
◇
陽が完全に沈むのを待って、私と流星は多摩川沿いの緑地まで歩いた。
街灯の明かりが、濃紺の水面にゆらゆらとした光を投げている。
緑地の中の適当な場所に並んで座り天を仰ぐと、
そこには満天の星空が……というわけにはいかないよね。
北海道の田舎と違って都会の夜は明るいから、
肉眼で見える星は0等星、1等星、2等星……
3等星はギリギリ見えるか見えないかくらい。


