「うん…すごく綺麗な音…私もこの音好き」
「本当?良かったー!
紫が喜んでくれたら、僕も嬉しい!」
この音を私に聴かせる為に、苦しい息の中わざわざグラスを取りに行ってくれた。
『私もこの音が好き』
それを聞いた彼は、右頬の可愛らしい笑窪をへこませて、
本当に嬉しそうな笑みを浮かべていた。
私が嬉しいと流星も嬉しいんだね。
8月の強い日差しの中、白樺の木陰で寄り添い、
炭酸が抜けるまでその音色を楽しんでいた。
―――――…
―――――
流星は5年前と同じ音色を聴かせてくれた。
それが嬉しくて、自然と笑みがこぼれた。
「流星…… 好き」
「…え…?」
「この音…好き」
「ああ… 音が…ね」
あれ?
昔は「この音が好き」と言ったら嬉しそうにしてくれたのに、
今は何故かがっかりしている。
5年前と同じ反応が返ってこない事を少し淋しく思いながら、
サイダーをちびちび飲んでいた。
「ゆかりちゃんさー、
夏休みどうすんの?実家に帰んの?」
「うん。初日から最終日までびっちり帰るよ」
「マジで?
うわ〜何それ〜。俺と遊んでくれないの〜?
浴衣姿とか水着姿とか裸とか、めっちゃ楽しみにしてたのに〜」
「………」


