「紫(ムラサキ)ちゃんは流星を待ってるよ。流星があの夏を思い出すのを待ってるよ。
でもね、その子が待っているから、生き続けたいと思うのはどうなんだろう……
龍之介さんが亡くなる前は、流星は生きたいと思っていたんでしょ?
移植を受けて生きられると喜んでいたんでしょ?」
「そうだけど…
今は俺なんかが生き続けることに、後ろめたさを…」
「生きたいならそれでいいじゃない。
生きることに大層な意味なんかいらないよ。
生きたいから生きる。それでいいんだよ?」
「………」
『生きたいから生きる』
ゆかりちゃんは俺を見ながらきっぱりと言い切り、自然な笑顔を見せてくれた。
それからまた、
俺の裸の胸に耳を当て、静かに心音を聴いている。
「流星の心臓の音って心地好いね。何だかホッとする。
ほら、ドクン…ドクン…て、力強いリズムを刻んでるよ?
私にはこの心臓が動きたいって…流星の中で動き続けたいって言ってるように聴こえる」
ゆかりちゃん…
どうして君には分かるんだろう……
今初めて気づいたことがあった。
誰かにそう言われることを、ずっと求めていたんだってこと。
『この心臓が俺の中でも動きたがっている』
『生きたいから生きる。それでいい』
誰にも心の中を見られたくなかったのに、
本当は誰かにそう言って貰いたかったんだ。


