少年も怖れていた。
医師から聞いた手術後の『生存率』と言う言葉を。
5年生存率は××%、10年生存率は××%……
その数字は決して低い値じゃないが、
『生存率』という言葉自体、
「死ぬこともあるから」そう宣告されている気がして……
少年の死を怖れる少女に「僕は大丈夫だよ」とは言ってあげられない。
なぜなら、彼自身も自分の生に自信が持てないから。
不安が募(ツノ)り、
ついに泣き出した少女を見て、少年は……
この物語の結末はどうすればいいかな…
本当はハッピーエンドの物語を書きたかったけど、思い描けなかった。
罪悪感と後悔に苛まれる今の精神状態では、
幸せな未来なんて想像出来ない。
結末は悲恋にしよう。
少年は突然行方をくらますんだ。
自分が側にいれば少女は不安の中から抜け出せない。
いつか自分の死をもって、笑顔を奪ってしまうかも知れない。
だから少年は少女の前から消える道を選んだ。
彼女の笑顔を守りたい…その一心で。
こんな所かな。
最後の一文を打ち終えて、保存ボタンをクリックした。
書き上げたことで今まで漠然としていた紫(ムラサキ)ちゃんのイメージが具体化した。
俺の作り上げた彼女のイメージは、
清楚で可憐で優しくて、か弱い……
弱い?何か…違うな。
俺の中の紫色のイメージは、ラベンダーの色。
極寒の大地で雪に覆われても枯れることなく、
次の夏には花を咲かせる、強く逞しいラベンダー。
本物の紫(ムラサキ)ちゃんはきっと俺が描いた少女とは違い、
強い…はず。


