ラベンダーと星空の約束

 



 ◇


退院してしばらくの間は、外出も出来ない程にふさぎ込んでいた。



楽しみにしていた中学へ行く気にもなれず、
一日をただ無気力に過ごしていた。



後悔と罪悪感に苛まれる日々。

その中で、取り返しのつかないどん底まで落ちずにいられたのは、

あのメッセージカードを眺めていたから。




闇の中、淡い青色のライトに照らされ、浮かび上がる一面のラベンダーの丘。


夏の夜空からは無数の星が降り注ぎ、
紫色の花の群れに溶け込んで行く。




綺麗な写真だ…

多分撮影場所はラベンダーの町フラノ。

フラノのどこだろう…



富良野観光協会や、土産物店に片っ端から電話して聞いてみたんだ。

このメッセージカードと同じ物を売っている店があるのかと。



しかし、売っている店は一軒も見つからなかった。



これは商品用に作られた物じゃないのか?

この写真を撮った人物が、個人的に作成した物なのか?




この写真を撮った人…

もしかしたら“紫(ムラサキ)ちゃん”が、俺だけの為に写真を撮りメッセージカードに仕立て……



なんて…な。

何恥ずかしい妄想をしているんだ。

少女漫画を読みすぎた、女子中学生みたいだ。



大体、紫(ムラサキ)ちゃんが女の子だっていう確証もないのに。



けど…
この丸い字体といい、語尾に“ね”が付く所といい、
やっぱり女の子の気がして仕方ない。



『紫』の音読みは『し』

『し』の付く名前って…
シオリ、シノブ、シズク……
何かピンと来ない。



名前じゃないのか?
『山と言えば川』みたいな合言葉的なもの?

駄目だ…分かんない…



何で俺は忘れちまったんだよ。