それに二ヶ月後には高校入試があって、そのまた二ヶ月後には高校生活が始まる。
運動出来ない体だった俺は、昔から本の虫で知識量は自負している。
勉強は好きだ。
受験勉強なんて特にしていないが、どの高校だって入れる自信はあった。
入院中に決めた志望校は明絖大付属高等学校。
パンフレットの古い伝統ある校舎を見て、一目で気に入った。
それに特待生制度で学費免除があるのも嬉しい。
国内で移植を受けられたことで、
健康保険が適応され、経済的な負担はそれ程でもない。
だが、過去15年分の治療に関わる自己負担額を合計すると、かなりの金額になる。
父さんは金銭面については何も言わないが、
俺の為に休みも取らずに働いている姿を見れば、
決して金に余裕がある訳じゃないと、容易に推測できた。
俺は父さんに甘やかされて育てられた。
生れつきの心臓病に、引け目を感じているのだろう。
それは親のせいではない。
気にする必要なんかないのに、まぁ…それが親ってものなのかも知れないが。
そんな訳で、母さんが亡くなってからは特に溺愛され、
欲しい物は何でも買ってくれたし、タンスの中は子供ブランドの服で溢れていた。
裕福じゃないのに、よく金持ちの子だと勘違いされたくらいだ。
金や物だけじゃなく、
一人っ子の俺が淋しくないようにと、兄貴のような家庭教師も付けてくれた。


