ラベンダーと星空の約束

 


ドナー(臓器提供者)が現れるのを待ち続け、残念ながら命を落としてしまう待機患者は少なくない。

俺も少なからず覚悟していた。



そんな中で多額な資金を必要とする海外に行く事もなく、

国内で移植を受けられたのは紛れも無い幸運だった。



その理由はいくつかあった。

一つは俺の血液型がAB型だったこと。

AB型は全ての血液型のドナーから移植が可能だった。



二つ目は俺より緊急度の高い待機患者…つまり、俺より先に移植を受けられる予定の患者が、

肺炎を起こし急に移植手術を受けられなくなったこと。



最後の一つは、
俺の元々の心臓が、16歳になるまで何とか機能し続けてくれたこと。



もっと幼い頃に移植が必要になっていたら、
こうも上手くはいかなかっただろう。



国内の小児心臓移植は期待される程進んでいないのが実状。


大人のドナーからの心臓を受け入れられる体格に成長するまで、

何とか持ちこたえてくれた元々の心臓にお礼を言いたい。




目が覚めて父さんの顔を見た時、泣きそうになった。


嬉しかった。
生きていることが…


これからも生きられる事が、堪らなく嬉しかった。



ドナーとなってくれた見知らぬ誰かに、
言葉に出来ない程の感謝を込めて、その人の冥福を祈った。



 ◇


術後、順調な回復を見せた俺はすぐにICUを出て、一般病室へ移った。


そして手術から一ヶ月後、退院の日が決まった。



長かった入院生活とも、あと数日でさよならだ。

退院したら中学校へ行き、久しぶりの友達の顔が見たい。



長期入院で存在を忘れられているかも知れないが、そんな事はどうでもいい。

一からまた友達をやり直せばいい。