ラベンダーと星空の約束

 


「まだ何か聞きたい事があるの?いいよ、この際何でも聞いて」



「うん…あのね?その…エッチな事は運動に入らないの?
エッチしてる時の心拍数はどうなってるの?」




そこまで突っ込んで聞いてくるとは思わなくて、少し笑ってしまった。



セックスって結構体を動かすし息も切れる。
疑問に思ってもおかしくはないか。



ニヤリと笑い彼女に顔を近付けた。




「実際に俺に抱かれてみれば分かるんじゃない?
俺が腰振ってる間、脈拍測ってみるのはどう?」



「…言葉で教えて」



「え〜? いい案だと思ったのにな〜」



「流星!!」



「はいはい、ごめ〜ん。
精神的な興奮にはちゃーんと心拍数は上がるんだよねー。

エロい事考えたり?女の子の裸を見たり?
そんな時だけすぐに心臓バックバクだよ。

不思議だよなー。これは医者も説明出来ないって言ってた。

あれじゃない?この心臓の元々の持ち主が、俺と同じでエロかったんじゃない?アハハッ」



「流星!!
その冗談止めて。笑えない。」



「…分かってるよ……」





そんなの誰よりも俺が一番分かっている。

心臓を提供してくれたドナーには言葉に出来ない程感謝している。



命の重みを全身全霊で感じて生きてきたんだ。

彼女に叱られずとも、そんなこと言うべきじゃないと俺が一番理解している。



だけど…

軽いノリで笑い飛ばさないと、心が壊れてしまいそうなんだ…



生きられる事への感謝と喜び。

生き続ける事への後悔と罪悪感。

今の俺は、その狭間でもがき苦しんでいた。



この心臓は性悪な俺なんかじゃなく、
本当はあの人に移植されるべきだったんだ。



俺なんかより、
あの人こそ生きる価値のある人間だったのに……




「流星!? 何で…泣いてるの?」




俺の大腿の上に跨がりながら、彼女は目を丸くして驚いていた。



あの人の顔が脳裏に浮かび上がり、
折角もらった心臓が、壊れそうなほど強く収縮するのを感じていた。



止められない涙は頬を伝い、顎先からポタポタと落ちていく。