彼女は真剣な目をして真っすぐに見つめてきた。
漆黒の美しい瞳は強い光を宿し、ごまかしを許してくれない。
「好きにしなよ…」
溜息をついて彼女の手を離した。
自由なった白い指は、
大切な物に触れるように、慎重にゆっくりとワイシャツのボタンを外していった。
全てを外し終わり、彼女はワイシャツの合わせ目を左右に開く。
露わになる俺の胸元。
傷痕をじっと見つめる彼女は、何も言わないし、真剣な表情も崩さなかったが、
大きな瞳が揺れ動くのを俺は見逃さなかった。
ほら…
やっぱり動揺してんじゃん。
開胸手術三回分の傷痕は、
陽にさらされることのない白い胸元に、濃くはっきりと残っている。
胸元を凝視し続ける彼女に
「もういいだろ?」
と言おうとした時、
彼女は顔を寄せ、傷痕にキスしてきた。
柔らかく温かい唇をそっと押し当て、
その後は心臓の位置に耳を付け鼓動を聞いている。
益々分かんないな……
傷痕見て動揺したのに、何で愛おしむようにキスしてるんだよ。
彼女の行動は謎だらけだが、嫌な気はしなかった。


