「紫… 顔見せろ」
泣き顔を見られまいと顔を覆っていたが、その手は大樹に外された。
涙でぼんやりと滲(ニジ)む視界で、大樹と目が合う。
よく日焼けした浅黒い肌。
家のバリカンで短く刈り上げている、田舎の中学生らしい素朴な七分刈りの坊主頭。
去年までは私と似たり寄ったりの身長だったのに、
急に背が伸びて、肩幅も広くなり筋肉質になった。
見慣れている筈の大樹の瞳にドキリとした。
弟みたいな大樹にトキメキなんて有り得ないけど…
ドキリとした理由は大樹の表情…
どうしてそんなに辛そうなの?
真っ直ぐ私を見つめるその瞳は、
泣いている私以上に切なげに揺らめいていた。
驚いてマジマジと見返すと、大樹は急に顔を逸らしてしまう。
ティッシュの箱を手繰り寄せ見るなと言うかの様に、乱暴に私の涙顔を拭き始めた。
「紫…良かったな…
あいつが生きてて安心したか?」
「うん… すごく嬉しい」


