嘘はついていない。
土産物屋の中で軽食も出してるもの。
私の話しはまずいから、何か別の話題をふらないと。
そう思って口にしたのは、この間のカラオケの話題だった。
お礼を言わないと…
そう思っていたのだけど、
中々言うチャンスのないまま、一月も過ぎてしまった。
食べかけの定食トレーを膝の上から下ろし、流星の方に向き直った。
「流星…ありがとう」
「ん?いいっていいって。
スペシャルは、そりゃちっとばかし高いけど、
君の裸を見た代償にこれくらいは……」
「そうじゃなくって!
カラオケ行った時のこと…
あの時は付いて来なくていいのにって思ったけど…
瑞希君から聞いたんだ。流星が私を守ってくれていたって……
お陰で女の子の友達も出来て感謝してるの。
流星が私の事を本気で心配してくれて、すごく嬉しかった。ありがとう……」
真剣にお礼を言った。
嬉しかった気持ち、感謝の気持ちを伝えたかった。
それなのに流星は…
「それ…」
「それって何?」
「それがデレだよ!
うわっ何これ、俺めっちゃドキドキしてんだけどー!
ツンツン、デレかよ!やられた〜!!」
はぁ…
真剣に話したのに、やっぱりそうやって茶化すんだね。
『あいつってすぐに茶化す癖があるから…
逃げずに向き合って、本音を感じ取る努力をしてみなよ……』
瑞希君がくれたアドバイス、実践するのは難しい…
今の場合、流星の本心はどこにあるの?
私の感謝の気持ちは、ちゃんと届いてる?
言葉だけじゃ伝わらないのかな…
そう思った時、自然と体が動いていた。
立ち膝を付いた私は、流星の頬に唇を寄せる。
目の前には驚く流星の顔。
唇を離し、茶色の瞳をじっと覗き込んだ。


