大ちゃんへの苦情をぶつけると、亀さんは少し考えこう言った。
「そうだな…
瑞希に一つ提案がある」
「何、何?
女子の連れ込み、止めさせる方法でも思いついたの?」
亀さんはテーブルの上から一枚のメモ用紙を取り上げ、僕に見せる。
それにはこう書かれていた。
『3月28日
到着時刻未定 月岡 紫さん』
「紫」って名前?
何て読むんだ?
「新入寮予定の“つきおか ゆかりさん”
女の子が入ってくるんだよ」
亀さんはいつもの爽やかさとは違う策士の瞳で、
眼鏡の奥をキラーンと光らせた。
「なるほど!
その女の子を、大ちゃんの隣の部屋に入れるってことだね?
そうすれば大ちゃんだって、
セフレを連れ込んでアンアン言わせてられないよね!」
「ハハッ
理屈はそうだけど、隣の部屋はマズイ。
それだと流星に食べられる心配がある。
210号室がいいと思うんだ。
瑞希、悪いが近日中に引っ越してくれないか?」
「ラジャー!!」
210号室は柏寮で一番日当たりがいい。
角部屋で他の部屋より少し広いから気に入っているけど、
大ちゃんが女の子を連れ込まなくなるなら、引っ越しも大歓迎だよ!
さすがの大ちゃんも、
真上が女の子の部屋なら気を遣うだろうしね。
これで悶々とする日々から解放されるんだ。やったね!


