無機質な刃先が、有機質な皮膚に入り込む。
荒くなる息を抑えながら、その刃を引く。
皮膚が裂けて赤い肉がのぞき、その先には白い脂肪があった。
けれど、それもすぐに溢れた血に埋もれて見えなくなってしまう。
カッターナイフはケースに入れず、刃をそのまま素手でつかんでいた。
手が滑ると、側面の刃が手のひらを切り裂く。
血が流れて、切っ先の血と混じり合う。
鏡に血の色が移り込む。
白い洗面台に落ちた血の色が、鮮やかだった。
この光景をキレイだと思う私は、狂っているのかな?
「とっくに、狂ってるじゃないか」
鏡の中にいるのは私だけで、樹はいない。
でも、樹は確かに私の隣で私の血を見ている。
脂肪の見えた傷口に、再び刃先を突き立てた。
もっと深く、私は何度も傷口に傷口を重ねる。
栓のされた洗面台に、水じゃなくて血が溜まっていった。
荒くなる息を抑えながら、その刃を引く。
皮膚が裂けて赤い肉がのぞき、その先には白い脂肪があった。
けれど、それもすぐに溢れた血に埋もれて見えなくなってしまう。
カッターナイフはケースに入れず、刃をそのまま素手でつかんでいた。
手が滑ると、側面の刃が手のひらを切り裂く。
血が流れて、切っ先の血と混じり合う。
鏡に血の色が移り込む。
白い洗面台に落ちた血の色が、鮮やかだった。
この光景をキレイだと思う私は、狂っているのかな?
「とっくに、狂ってるじゃないか」
鏡の中にいるのは私だけで、樹はいない。
でも、樹は確かに私の隣で私の血を見ている。
脂肪の見えた傷口に、再び刃先を突き立てた。
もっと深く、私は何度も傷口に傷口を重ねる。
栓のされた洗面台に、水じゃなくて血が溜まっていった。