「じゃーなー!」

「またねー!」


綾香の家を出て、帰る方向の違う三人と別れた。

矢島くんと二人で歩く帰り道。

上原くんと抱き合っていたときの、寂しげな表情が気になっていた。



「上原さんでしょ、万年筆。」


突然言い当てられて、身体がビクッとなる。

「なんで…?」


「そんなの、見てればわかるよ。」


そう言って、矢島くんは空を見上げた。

私は、下を向いた。
矢島くんは、私を庇ってくれたんだ。

気づいていたんだ…。

それなのに…。

矢島くんの優しさが伝わってくる。