「じゃ、万年筆って誰?藤崎でしょ?真面目だし。」

「なんだよ、俺じゃねーし!」


「じゃ、誰よ。」

イラッとしながら、こちらに視線を向ける綾香。

うわあ…言えるわけない…。
どうしよう…。


「あ、それ、俺!」


えっ、矢島くん?

「俺が選んだんだよ、万年筆。」


矢島くん…。

「なんだ、矢島かー。」

綾香のホッとした声が聞こえた。


「矢島ー!サンキュー!俺、これすごく欲しかったんだよ!マジで嬉しいよー!」

上原くんは、ピョンピョンと跳ねるように矢島くんに抱きついて、なんでわかったんだよ?って嬉しそう。

だけど、上原くんの嬉しそうな顔とは対象的に、矢島くんは淋しそうな顔をしていた。