包装紙を外して、水色の箱を開ければ、一瞬指が止まる。


「こ、これ…なんで…。」



上原くんは、箱から万年筆を、丁寧に取り出した。


「万年筆?おじいちゃんのプレゼントみたい。」

綾香が、そう小さく言ったのが聞こえた。


上原くんは綾香の方を見て、万年筆を大事そうに握って言った。


「これ、今一番欲しいと思っていたものだよ。」


上原くんは、驚いたと何度も繰り返し言いながら、万年筆を嬉しそうに眺めている。


「うそ!だって、財布が欲しいって言ってたじゃない!」


綾香が上原くんに、詰め寄って行く。


「うん、財布も欲しかったよ。だから、すごく嬉しい。財布をくれたのは綾香なの?ありがとう。」

上原くんにそう言われて、綾香は何も言えなくなった。