ま、まさか、矢島くん?

早いよ、一本目だなんて。


「さすが、矢島!愛の力だねー!じゃ、引いてっ!」

綾香に促されて、矢島くんがカードを引いた。



…彼氏(彼女)にプロポーズをする…




「えー、プロポーズ?」


「いいじゃん、言っちゃえ言っちゃえ!」

躊躇する矢島くんに、綾香がけしかける。


「矢島くん、無理しなくていいからね。」

私が小声でそう言うと、矢島くんは大丈夫だと、微笑んだ。


矢島くんは、私に向き直り、きちんと正座する。


え?え?えー?
ちょっと矢島くんっ!?


「じゃ、行きまーす。上原さん、大好きです。僕と結婚してください!」

そうして手を前に差し出す。


「結、返事は?」

綾香が言った。
断ることなんかできない雰囲気…。


「ああ、うん、よろしくお願い致します。」

そう言って、矢島くんの手を取るしかなかった。


「おめでとー!」

みんなからの祝福の拍手が、曖昧な自分を苦しめた。