何度もキャップをはずして、書き味を試していた。

結局買わずに元の場所に戻していたけれど、なんとなく名残惜しそうだった。




上原くんは、カラーペンを数本手に取ると、一階に降りていく。


すかさず私は舞い戻り、上原くんの触っていた万年筆を手に取った。


漫画用万年筆。
値段は1000円。


うっ…高い…。
今の私じゃ1000円は、高すぎる…。

どうしよう…。
でも、買ってあげたい。



えーい!買ってしまえっ!


私はその万年筆をぐっと掴んで、一階のレジに向かった。


「これ、プレゼント用でお願いします。」

小さな箱にいれて、きれいに包装してもらった万年筆。


喜んでもらえたらいいな…。

リボンのついた箱を胸に抱えて、弾む気持ちでうちに帰った。