「上原くんの背景…すごいよかった。」


私は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、上原くんに向かって話し始める。



「書き直したお城も、汚れ隠しの小鳥も…みんなみんな素敵…。」


上原くんは、驚いた様子で私を見る。

「上原くん、すごく頑張ってたね。私も尊敬するよ。」


そうして私が笑うと、上原くんも照れ臭そうに微笑んだ。


「でも、ちょっとムカつく。」

「なんで?」


「教科書の落書きぐらいだと思っていたのに、あまりにも絵が上手すぎて。」


「おいおい、なんだなんだ?結は俺にケンカ売ってんのか?」

「違う、違うって!」


二人でケタケタと笑いあった。

運動会からずっとあった、心の中のわだかまり。


それはこの一瞬で、すっと消えてなくなった。