頬に添えられた手のあたたかさ。
握られた手の力強さ。


その手に促され、上原くんを見上げる。
私の頬から手を外し、自分の頭をゴシゴシ掻いた。


「 あのさ…。」


すこし困ったような表情で、ゆっくり話し始める。


「だから…。」


上原くんの纏う空気が、私を一気に緊張させる。


途端に意識し出した心臓が、壊れそうなほど暴れ出す。


こんなにドキドキしている。

だけど、あの言葉がひっかかり、私は未だにふてくされたままでいる。


「あのさ…。」


好きだから、悔しい。
素直になんか、なれやしない。

トゲトゲしい言葉しか出てこなかった。


「なによ…。」


「俺…。」


上原くんは、そんな私の空気を感じ取ったのか、手を口に当てて横を向いて黙ってしまった。



「そんな顔、すんなよ。」