「結、足出して。」


「あ、うん。」

上原くんは、ハチマキを外した。

そして、自分の足と私の足を固く結んだ。

「痛くない?」


「うん、大丈夫…だけど…。」

「どうした?」


上原くんは立ち上がる。

繋がれた私たち。
触れたところが、あたたかい。


「ちょっと、怖くて…。」

すこしだけ、弱音を吐いた。
不安で不安で、どうしようもない。




「じゃあ、おまじない。」


上原くんが私の手をとって、手のひらに何か書いた。


「なに?」


「ナイショ。言ったら効力がなくなる。」


そう言って笑う上原くんを見て、肩の力が抜けたように思った。


「さ、行くぞ。」


「うん。」



矢島くんも綾香も美紀も、自分の位置に並んでいる。


私たちもアンカーの襷をかけて、列の後ろに座った。

一走の藤崎くんたちが、スタートラインに着いた。



位置について、よーい…



バーン!


第一走者が走り出す。


祈るような気持ちでいた。
みんな、頑張れ!