「矢島くんは…怒って…海に…。」


「怒る?なんでだよ?あいつ、結のこと、すっげー好きなんだぜ?」


「私が…悪いから…。」


「結が悪いわけねーだろ?ったく、あいつ、何やってんだよ!」





救護室のベッドに寝かされ、おでこを冷やした。

頭が痛い。
ズキズキ響く。


軽い熱中症だと言われた。

上原くんは枕元に座り、心配顔で私を見下ろしている。

「大丈夫か?今、矢島を呼んでくるから、待ってろよ。」


「うん、ありがとう。」



「上原くん、綾香は?」


「美紀と話があるって、どっか行ったよ。」

「そっか…。」


見られてない…

よかった…。



「余計な心配するな。」

上原くんは、私の頭をポンと叩いた。

胸がキュンと音を立てる。
一気に心臓が踊り出す。


「矢島にはうまく言っておくから。」


上原くんは、いつもの優しい笑顔を残して、部屋を後にした。


胸が、痛い。

優しくされればされるほど、感情が溢れそうになる…。