気持ちを落ち着けてから、そっと外に出た。


建物の壁に寄りかかって、矢島くんが待っていてくれた。

私のパーカーとハーフパンツを、無言で差し出す。


「ありがとう。」


私はパーカーを羽織って、ハーフパンツを手に持った。

それを見届けた矢島くんは、大股で歩き出す。


ザクザクと砂が鳴る。


ザクザクザクザク…

ザッザッザッザ…


言葉は交わさず、ただひたすら小走りで着いていく。



しばらく歩けば、みんなのいる砂浜が見えてきた。

ずっと緊張して歩いていたから、ホッとする。


…着いた…


敷物の場所には、まだ誰も戻ってきていなかった。

矢島くんは、泳いでくると私に告げて、海に向かった。


私は敷物の上に座る。
もう、遊ぶ元気なんかない。



あー、あっついなー…



真夏の太陽が、容赦無く私を照らしていた。