「ごめんね…。」



「上原さんの、せいじゃないよ…俺が、遠くまで行きすぎた…から…。」


違う、私が謝りたいのは…そのことじゃない…


「矢島くん…私…


矢島くんは私の言葉を遮るように、もう片方の手で私の口を塞いだ。


「いいから、謝らないで。」


握られた手に力がこもる。

私の口を塞いでいた手がそっと離れて、矢島くんは恥ずかしそうに自分の顔を覆った。



「頼むからこれ以上、俺を緊張させないで。」


矢島くんは、ゆっくり身体を起こして、私を見つめる。


いつもは優しい黒い瞳。

けれど、なんだか今日は、いつもよりも大人っぽい表情で…








「行こう。」


繋いだ手を引いて、私に立ち上がるように促す。


「え?どこに?」


「2人きりになれるとこ。」


そう言ってにっこり笑うと、矢島くんは私をぐいぐい引っ張って歩き出した。


「や、矢島くん?」


「もう俺、我慢の限界!」


わあああ、ほんとに、どうしようどうしよう…