「あのね、カズ。きっとカズもそうだと思うけど…好きな人の役にたつことは、悪いことでもなんでもないよ。むしろ、私のしたことで喜んでくれたら、私もすごく嬉しくなる。

今の私がカズにできることは、結をここに呼んでくることぐらいだから。」


そう言って俺を見下ろす亜紀の目から、涙がツッと伝って俺の頬に落ちた。

亜紀の言葉は、今の俺には優しすぎる。


「やめろよ…俺は…自分がそうするのは何とも思わない。だけど、亜紀がそんな風にするのは嫌なんだ。」




「バカね…カズは。優しすぎるんだよ。でも、そういうところが好きなんだけどね。」


「お前、好き好き言うなよ。慣れてないんだから、俺、そういうの。」


「知ってるよ。だってずっと見てきたから。」


泣いてるくせに笑う亜紀。

そんな顔見せるなよ、辛くなる。