「今日ここで、文化祭の時の貸しを返してもらおうかと思ってる。」


「か…貸し…って?あっ!貸し…。」


そうだった…一緒にボタンをつけてくれて、私の家まで送ってくれたあの日、上原くんに貸一つって言われていたっけ。


「あ、うん、だから、漫画とか…明日買って持ってくるよ。」


「違う、そんなのいらないって言っただろ?」


「あ…そっか…じゃあ…どうすればいい?」



上原くんは、私の正面に立って深呼吸をした。



「あのさ…ケジメつけたいんだ。」


「え?ケジメって?」




上原くんは、カバンから教科書を出す。


「これ…結にくれてやる。」


「教科書…?」





私は、上原くんが差し出す教科書を手に取った。

ペラペラとめくれば、上原くんの描いた漫画が動き出す。