私の打ったサーブは、矢のように速い球で返ってくる。


ポーン…ビュッ!

ポーン…ビュッ!


体育館に響く音は、ずっと同じ。

上原くんが、ラケットを振れば得点が入る。



サーブは、早くて見えない。

当然、打ち返せるわけがない。



強烈なスマッシュが、身体に当たる。

避けることさえできない。


硬い石を投げつけられたように、ズシンと痛む。



上原くんは「大丈夫か?」と心配したが、私は「大丈夫だ」と立ち上がる。


悔しいけれど、全く歯が立たない。

グリップをギュッと握りしめる。

額の汗を手の甲で拭った。




「タイムアウト」

見兼ねた由里子さんが、私を呼んだ。


「海斗くんは、ここのコースが弱くて…。」


点など取れるわけがない、そんなことみんなわかってる。


だけど、無謀な挑戦をする私に、懸命にアドバイスをしてくれた。

宇佐見くんも亜紀もああだこうだと、必死で考えてくれる。



みんなが私に点を取らせたいと願っている。

上原くんにバドミントンを続けさせたい。

みんなの願いを背負って、私はもう一度コートに立つ。