上原くんに褒められたことが嬉しくて、胸がいっぱいになる。

思わず、これのおかげだよと万年筆を取り出して見せた。


「えっ、これ…あの時の…だよな…なんで結が持ってるの?」

そう言って、上原くんもポケットから万年筆を取り出した。



上原くんの万年筆は、使い込まれているのがよくわかる。



「もしかして…これ、本当は結が選んで、俺にくれたの…?」




…あ、しまったと思ったがもう遅かった。

「う、うん…ごめん、だましてて…。」



私は下を向いた。



「結…、結ってば…。」

名前を呼ばれて顔を上げた。



「ありがとう…これ…ほんとに嬉しくて…結だったんだね…すごく嬉しいよ…ありがとう…。」



自分が辛いとき、この万年筆でノートに漫画を書いていたんだという。