目の前のドアから、上原くんが降りてくる。



いつもそう。

上原くんを目にするだけで、胸がいっぱいになって、こんなに苦しい。



「ただいま。」



そう微笑む姿は、一層逞しくなっていて眩しいくらいだ。



「おかえり…。」

何だか照れてしまって、下を向いた。



上原くんの後ろから、女の子の靴が見えた。



「…こんにちは。」



その声に顔を上げれば、由里子さんだった。



「結さん…ですよね?」



由里子さんは、私に話がしたいからと、上原くんに頼んで連れてきてもらったという。

上原くんは、駅前のファーストフードにいるからと私たちに告げて去っていく。



「時間がないところをごめんなさい…結さんと2人でどうしても話がしたくて…少しお時間よろしいですか?」