上原くんは、私の方こそ辛かったんじゃないかと、優しく聞いた。


「俺のせいで、どれだけ結を苦しめたのかと思うと…。」


「そんなことない…そんなことないよ…。」


俯く上原くんの頭をそっと抱き寄せて、私は何度も首を横に振った。


「上原くんの思ってることを聞かせて。これから、どうしようと思ってる?由里子さんのこともきっと考えているんじゃないの?話してくれない?上原くんのこと、もっと知りたいから。」




「結…ありがとう…。」


上原くんは、思い出すようにぽつぽつと話し出した。



「…由里子は…今、バドミントンから離れているんだ…でも、ケガをする前は将来を期待されていたすごい選手でね、みんなの憧れの的だった。だけど、あの事故のせいで…手が使えなくなってからは、ラケットを持たなくなった。頑なに練習しようとはしない。それでも部活を辞めないのは、本当はバドミントンをやりたいんだと思うんだ。」


だから、由里子さんが選手として復帰できるように、自分が全力でサポートしていきたいといった。



「そうすることになれば、由里子のそばにつきっきりになると思う。また結を悲しませることになるかもしれない。だけど、俺は、チームメイトとして責任を取りたいんだ。」


上原くんの目には、強い意志が見て取れる。